祝日の早朝

ただいま午前５時
祝日なので不摂生を決めて、不摂生ばく進中です
ＢＳの録画番組をつらつらと流していて、すごく惹かれてしまったコメント

手塚治虫の独談
この方が亡くなって丁度二十年
生前に淡々と語る言葉

自分のこととはいえ、こんなにも語れるものだろうか？
そこに信念がなければ、こうも見事には語れないと思ってしまう
編集の跡をこんなにも感じさせないフィルムは、正直言って痛い
編集を受け付けない意志の表現を認めるしかないのではないか？

「僕はもう、自分で漫画を描く為に他の事を全部犠牲にしてきたような気がするんです

たとえば、あの結婚なんかでもですね、あの、だいたい僕は女性はあの、
そんなに嫌いな方じゃないんだけど、とにかく付き合いが悪い男で、えー何回かあの
つきあった女性はあの、もう分かれてしまいましたし
最後に今一緒にいる女房なんかも二、三回えーデートしただけで結婚しちゃったんですね

しかももう、今や一週間に一度家に帰るか帰らないかで、もうそういう意味では全部
帰っている日にちだけ詰めて一年になるかならないかというとこじゃないかと思うんです
もうそのくらい家庭を犠牲にし、あるいは付き合いを、あの、粗末にしてですね
他の趣味を殺してまでも何故漫画を書かなきゃならないのかと自分でも不思議に思うんですけど
これやっぱり、なんて言うんすかねぇ、えー
ひどく追いつめられてる気持ちなんですね

その追いつめられてる気持ちは、ま、大変好ましいんだけど
例えば今の形態、少女漫画の形態というのは僕が、あのぉ全部作り・・出した
と言ったらおこがましいけど、うぅーま、そう言われてますし
またアニメーションもですね、わりと安上がりにテレビアニメーション作り出すようになった
というのも、まぁ虫プロダクションがきっかけになったと
ま、そういうようなところから、なんか他の人間にできないことを自分でやる
性格が僕にはあるんですね

と同時に、それは一番損な性格でしてね
ま、それがつまりあくまでも、あのぉ全然何もないところから　あのお大変こう不合理に
贅沢にこうやってくもんですから、あのぉうん非常に無駄が多い
無駄が多いのをこんどは僕の後に続く人たちが、それを整理して
合理的なあの、ものに仕上げていく　ま、こういうようなことをずっと繰り返してきたんです
で、それと同時にですね　あのぉ自分がこれをやらなければ誰がやるかというような
なんか観念にとらわれる時があるんです
でそういうことで、えぇもう今までなんべんかジレンマはあったんだけど、
やらなきゃならないかな、っていうな、
こう切実な気持ちにとらわれて、さらに今描かなきゃ描き続けてきたんです」

あの人に聞かせてあげたい・・・